その暖かい時間を

静かな朝だった
その単純な作業は一夜にして世界を一つの色に染め上げた
大地の様子に見飽きて空を見上げる
それでもなお、どこまでも同じ色
そんな中にあって何事もなかったかのようにいつもどおりの姿を保つ建物
別にだれかがきれいにしたわけではない
そこに積もることがないだけなのだ
呪いの一種か何かだろうか、全てはその建物を避けて降り続けた
ソレがいつからそこにあるのか人々は知らない
しかし昔から知っているかのようにその建物を利用している

氷の結晶はその建物を侵食することはなかった
いや、出来ないというほうが正しいか
当然のことなのだ
だってそれは
本当にこの世界のモノではないのだから
 
    〜P.E.Library〜 
 
    午前9時、図書館の開館時間まではあと30分
    この図書館の司書「日々野 望」は開館のため準備をしている
    机を拭いたり本の並びを整えたりと一通りのことは終えた
    今は閉館時間後に返却ポストに入れられていた本を本棚に戻している
    そのときだった
望 「あれ?こんな本あったかなぁ」
    見たことのない本
    今まで休むことなくこの図書館で毎日司書として働いてきたのだ
    どこに何の本があるかは大体把握しているし、貸し出している本は
    全て覚えている
望 「えっと、借りてた人の名前は…っと」
    −−−陽乃
望 「・・・嫌な予感がする」
館長「おはよー、今日も早いねぇ」
    どうしたものかと困っているところにこの図書館の館長が自室から出てきた
望 「あ、館長、ちょっとこれ・・・って!何ですかその格好は!?」
館長「へ?」
望 「どうして全身タイツにアロハシャツ着てまな板持ってるんですか!」
館長「いや、なんか積もってるしせっかくだから滑っちゃおうかなぁって」
望 「白いものに赤い斑点つけてあげましょうか?」
    するとどこから取り出したのか望の手には大きなハリセンがあった
    望の意思に反応し自在にその姿を変える万能ハリセン「陽女神」である
館長「あ!いえ!おかまいなく!・・・それより何かありましたか?」
望 「あーそうでした、ちょっとこの本どこにあったのかわからないんですけど」
館長「ん?何々、『なりきりバトン』?」
??「ようやく本題にたどり着いたか」
館長「誰!?」
    どこからともなく鳴り響く声
    その正体は一体誰なのか?そしてなりきりバトンとは何なのか?
    望と館長に迫る試練!全ての謎が解き明かされる時がきた
    次回、P.E.Library 後編「そのせつない心を」